
保安基準適合証とは、指定工場が車検の整備と検査を終えた車について、保安基準に適合することを証明する書面です。指定工場の自動車検査員が証明し、有効期間は15日間です。継続検査ではこの保適証を出すことで現車の持込みを省略でき、継続検査OSSで申請する場合は、電子保適証として日整連のシステムに登録します。このページは「車検の書類・手続き」のうち保適証の扱いを、道路運送車両法と指定自動車整備事業規則、国土交通省と日整連の資料をもとに整理したものです。
保安基準適合証の公式資料
- e-Gov法令検索|道路運送車両法第94条の5(保安基準適合証等)
- e-Gov法令検索|指定自動車整備事業規則第9条(有効期間と様式)
- 日整連|保適証サービス マニュアル電子保安基準適合証システムの操作
保安基準適合証とは
保安基準適合証(略して保適証)は、道路運送車両法第94条の5第1項に定められた書面です。指定自動車整備事業者は、自動車を点検して必要な整備をし、その車が保安基準に適合する旨を自動車検査員が証明したときは、依頼者の請求により保安基準適合証と保安基準適合標章を交付しなければなりません。
交付できるのは指定自動車整備事業者、いわゆる指定工場(民間車検場)だけです。指定工場は、認証を受けた事業場のうち、整備の設備や技術、管理組織が基準に合い、自動車の検査の設備を持ち、自動車検査員を選任していると認められたものを地方運輸局長が指定します。根拠は法第94条の2第1項です。
日整連の集計では、令和8年3月末時点の指定事業場は29,788、自動車検査員は100,187人です。指定事業場は令和5年3月末の30,147から3年連続で減っています。
保安基準適合証は、指定自動車整備事業者が点検と整備を行い、自動車検査員が保安基準への適合を証明したときに交付する書面で、根拠は道路運送車両法第94条の5第1項です。同じ条文で、車の前面に表示する保安基準適合標章もあわせて交付されます。継続検査では、同条第8項により、有効な保適証を提出すれば国土交通大臣への提示があり、かつ保安基準に適合するものとみなされます。これが、指定工場で車検を受けると運輸支局等へ車両を持ち込まずに済む法律上の理由です。交付できるのは自動車検査員を選任した指定工場に限られ、日整連の集計では令和8年3月末で29,788事業場、自動車検査員は100,187人です。
保安基準適合証と保安基準適合標章の違い
| 項目 | 保安基準適合証 | 保安基準適合標章 |
|---|---|---|
| 役割 | 継続検査の申請で提出し、現車の提示と適合の代わりになります | 車検証の有効期間が切れた後も、運行を続けられるようにします |
| 様式 | 第1号様式(指定自動車整備事業規則第9条第2項) | 第2号様式、電子提供時は第2号様式の2 |
| 有効期間 | 検査をした日から15日間 | 検査をした日から15日間 |
| 表示方法 | 申請時に提出(電子保適証は登録情報処理機関へ提供) | 運行中、前面に有効期間と自動車登録番号が見やすいように表示(施行規則第37条の4) |
保安基準適合標章を有効な状態で表示していれば、無車検運行の禁止(法第58条第1項)と、車検証の備付けと検査標章の表示義務(法第66条第1項)は適用されないと、法第94条の5第11項が定めています。車検の満了日をまたいで納車する場合でも、適合標章の有効期間内であれば運行できるのはこの規定によります。
保安基準適合証の有効期間15日
指定自動車整備事業規則第9条第1項は、保安基準適合証と保安基準適合標章の有効期間を「法第九十四条の五第四項の検査をした日から十五日間」と定めています。起点は第94条の5第4項に基づいて自動車検査員が検査をした日で、整備の入庫日や引渡し日から数えるものとは別です。
工場の実務では、検査日を起点に15日以内に継続検査の申請まで終える必要があります。部品の取寄せで納車が延びた車や、申請の準備が遅れた車は、期限を過ぎていないかを個別に確認します。期限を過ぎると、保適証による継続検査は使えません。
自賠責との関係にも注意が要ります。日本損害保険協会と国土交通省の事務連絡によると、運輸支局等の窓口では自賠責証明書は紙が必須です。ただし保適証の最終検査申請日を過ぎた後に提出する「自賠責証明書の写し」は、通達改正によりPDF証明書の印刷物を写しとして扱えます。
保安基準適合証と保安基準適合標章の有効期間は、指定自動車整備事業規則第9条第1項により、自動車検査員が検査をした日から15日間と決まっています。起点は検査日なので、入庫した日や顧客へ引き渡した日から数えるのは誤りです。継続検査に保適証を使うには、この15日の間に申請を済ませる必要があり、期限を過ぎた保適証は提出できません。適合標章も同じ15日で切れるため、車検証の満了日を過ぎた車は、15日以内に新しい車検証の記録を受けないと公道を走れなくなります。指定工場では、検査日と申請予定日を車両ごとに記録し、部品待ちや支払い待ちで止まっている車を早めに拾い出す運用が求められます。
電子保適証(保適証サービス)の仕組み
道路運送車両法第94条の5第2項と第3項により、指定工場は依頼者の承諾があれば、保適証に記載すべき事項を電磁的方法で登録情報処理機関に提供できます。提供した時点で、保適証を交付したものとみなされます。同条第9項により、継続検査の申請書にその旨を記載すれば保適証の提出に代えられます。
国土交通省の報道発表(平成31年3月8日公布、施行)によると、保適証の電磁的な取扱いは平成29年4月から始まっています。電子適合証を使う場合は、適合標章への自動車検査員の押印を省略できる新様式が、指定自動車整備事業規則第7条ただし書として追加されました。
日整連のマニュアルでは、このシステムを「保適証サービス(電子保安基準適合証システム)」と呼んでいます。登録情報処理機関は日整連と自検協の2つです。
マニュアルは、継続検査OSSでは保安基準適合証の電子化が必須だと書いています。適合標章は保適証サービスから専用紙に印刷し、その専用紙は各整備振興会が頒布しています。
指定工場のうち電子保適証を使っている割合について、公的な統計は確認できませんでした。自社が保適証サービスに登録しているかどうかは、所属する整備振興会に問い合わせると確実です。
電子保適証は、保安基準適合証の記載事項を紙で渡す代わりに、依頼者の承諾を得て登録情報処理機関へ電磁的方法で提供する仕組みで、道路運送車両法第94条の5第2項と第3項に根拠があります。提供した時点で保適証を交付したものとみなされ、平成29年4月から運用が始まりました。実際の窓口は日整連の保適証サービス(電子保安基準適合証システム)で、登録情報処理機関は日整連と自検協です。日整連のマニュアルは、継続検査OSSでは保安基準適合証の電子化が必須と明記しています。適合標章は保適証サービスから各整備振興会が頒布する専用紙に印刷し、電子適合証の場合は自動車検査員の押印を省略できます。
継続検査での保安基準適合証の使い方
保適証を使った継続検査は、窓口で申請する方法とOSSで申請する方法に分かれます。どちらも現車の持込みは不要です。
| 申請方法 | 保適証の扱い | その後の流れ |
|---|---|---|
| 窓口申請 | 紙の保適証を出すか、電子保適証の旨を申請書に記載します | 運輸支局等で新しい車検証の記録と検査標章の交付を受けます |
| 継続検査OSS | 電子保適証でなければ申請できません | 記録等事務代行者がICタグを書き換え、検査標章を印刷すれば終わります |
国土交通省北陸信越運輸局の「継続検査OSS導入の手引き」は、継続検査OSSの条件として、e-JIBAI等による自賠責情報の電子化と、電子保適証サービスの利用登録の2つを挙げています。電子車検証の継続検査(指定整備)は券面の記載事項が変わらないため、記録等事務代行者がICタグを書き換えれば手続が終わり、運輸支局等への出頭は要りません。運輸支局での記録を選んだ場合だけ、出頭が必要になります。
申請の日程、保適証の有効期間、自賠責の契約状況を工場ごとに追うには、車検の予定と整備記録をまとめて扱える整備システムが役に立ちます。保適証の発行やOSS申請までを一つの画面で管理したい場合は、OSS対応システムの相談(無料)で現在の運用を伝えると、合う構成を確かめられます。
保安基準適合証を使う継続検査の手数料
国土交通省の手数料一覧と軽自動車検査協会の案内から、2026年4月1日改定後の継続検査手数料を持込検査と比べました。
| 区分 | 持込検査 | 保適証・窓口 | 保適証・OSS |
|---|---|---|---|
| 普通自動車 | 2,600円(国600+機構2,000) | 2,100円(国1,700+機構400) | 1,850円 |
| 小型自動車 | 持込の額は手数料一覧で確認してください | 2,100円(国1,700+機構400) | 1,850円 |
| 軽自動車 | 2,500円(検査2,100+技術情報管理400) | 2,100円 | 1,850円 |
登録車の窓口申請では、国の取り分を自動車検査登録印紙、自動車技術総合機構の取り分を自動車審査証紙で納めます。保適証を出す窓口申請の2,100円は、印紙1,700円と証紙400円の組み合わせです。軽自動車の手数料は軽自動車検査協会に納めるため、検査登録印紙の対象外になります。
OSSで申請すると、窓口より1件あたり250円安くなります。年間600台の継続検査を扱う指定工場なら15万円の差です。
限定保安基準適合証との違い
限定保安基準適合証(限定保適証)は、法第94条の5の2に定められた別の書面です。
| 項目 | 保安基準適合証 | 限定保安基準適合証 |
|---|---|---|
| 対象の車 | 継続検査を受ける車 | 有効な限定自動車検査証の交付を受けている車(継続検査等で不合格になった車) |
| 交付の条件 | 点検と整備をし、保安基準への適合を自動車検査員が証明したとき | 限定検査証に記載された不適合部分を整備し、その部分の適合を自動車検査員が証明したとき |
| 効果 | 提示があり、保安基準に適合するものとみなされる | 限定検査証とあわせて出せば、保安基準に適合するものとみなされる |
| 保安基準適合標章 | 交付される | 交付されない |
| 検査手数料(軽自動車) | 窓口2,100円、OSS1,850円 | 1,900円 |
持込検査で不合格になった車を自社で整備して再検査に回す場合は、限定保適証の対象になるかを確認します。限定保適証には適合標章が付かないため、運行の扱いは通常の保適証と異なります。
まとめ
保安基準適合証とは、指定工場が点検と整備をした車について、自動車検査員が保安基準への適合を証明したときに交付する書面で、道路運送車両法第94条の5に定められています。有効期間は検査をした日から15日間で、継続検査で提出すれば現車の提示と適合があったものとみなされるため、運輸支局等へ車を持ち込まずに済みます。保適証の記載事項を登録情報処理機関へ電子的に提供する電子保適証は平成29年4月に始まり、日整連の保適証サービスが窓口です。継続検査OSSでは電子化が必須になります。2026年4月以降の検査手数料は、登録車の保適証提出が窓口2,100円、OSS1,850円です。限定保安基準適合証は不合格車向けの別制度で、適合標章は交付されません。
保安基準適合証に関するよくある質問
出典
- e-Gov法令検索 道路運送車両法(2026年10月4日確認):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- e-Gov法令検索 道路運送車両法施行規則(2026年10月4日確認):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- e-Gov法令検索 指定自動車整備事業規則(2026年10月4日確認):https://laws.e-gov.go.jp/law/337M50000800049
- 国土交通省 報道発表 平成31年3月8日(2026年10月4日確認):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000208.html
- 日整連 保適証サービス マニュアル(2026年10月4日確認):https://www.jaspa.or.jp/portals/pdf/u_manual5_ver1.6.pdf
- 国土交通省北陸信越運輸局 継続検査OSS導入の手引き(2026年10月4日確認):https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/nagano/pdf/2018osspanf.pdf
- 国土交通省 検査登録手数料一覧(2026年10月4日確認):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001986066.pdf
- 軽自動車検査協会 継続検査(2026年10月4日確認):https://www.keikenkyo.or.jp/inspection/continuation.html
- 国土交通省 認証工場と指定工場の違い(2026年10月4日確認):https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html
- 日整連 都道府県別認証、指定事業場数(2026年10月4日確認):https://www.jaspa.or.jp/member/data/number.html
- 電子車検証特設サイト 記録事務代行サービス(2026年10月4日確認):https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/business/service/
整備工場・販売店の方へ
継続検査OSSの申請まで、1つのシステムで。
自賠責(e-JIBAI連動)の取得、保安基準適合証の作成・発行、OSS申請、整備記録簿の電子保存まで。顧客・車両管理や見積・契約書もまとめて扱える整備・車販システムをご案内しています。
あわせて読みたい












