
e-JIBAIと自賠責の電子化について、国土交通省の資料と日本損害保険協会の案内をもとに整理しました。継続検査OSSでは自賠責の契約データを登録情報処理機関に登録して証明書の提出を省き、運輸支局等の窓口では今も紙の証明書が必要です。OSSはデータ登録、窓口は紙の証明書が必要という線引きを押さえたうえで、令和6年11月に始まったPDF証明書の扱いと、2026年11月1日からの保険料改定までを確認します。このページはOSS・電子申請の実務を扱う工場向けの内容です。
自賠責の電子化に関する公式資料
- 日本損害保険協会|自賠責保険の証明書PDF証明書の受け取り方と運行時の扱い
- 国土交通省 事務連絡(令和6年10月28日、吹田市掲載)窓口では紙の証明書が必須
- 損害保険料率算出機構|自賠責保険の基準料率2026年11月1日からの保険料
e-JIBAIとは
e-JIBAIは、自賠責保険の損保会社の共同システムです。継続検査OSSの中での位置付けは、国土交通省の「継続検査OSS導入の手引き」に書かれています。
手引きの記述は「保険代理店たる指定整備事業者がe-JIBAI等を活用して保険契約手続きを行い、その契約データを登録情報処理機関(AIRAC)に登録」というものです。指定工場が自賠責の代理店を兼ねている場合、車検の受付と同時に自賠責を契約し、その契約データを車検の手続に使える登録先へ送る仕組みと読めます。
e-JIBAIの運営主体(法人名や管理団体)について、国土交通省の資料は「e-JIBAI等」と書くだけで、運営者の名称は示していません。このページでは公的資料で確認できた範囲だけを扱います。自社の代理店委託先でe-JIBAIを使えるかどうかは、契約している損害保険会社に確認してください。
e-JIBAIは自賠責保険の損保会社の共同システムで、国土交通省の「継続検査OSS導入の手引き」では、保険代理店である指定整備事業者がe-JIBAI等で保険契約の手続を行い、その契約データを登録情報処理機関(AIRAC)に登録する仕組みとして説明されています。自賠責の情報がこの形で電子化されると、運輸支局等へ自賠責証明書の写しを提出する必要がなくなります。日整連の保適証サービスのマニュアルも同じ趣旨で、自賠責情報の電子化を継続検査OSSの条件の1つに挙げています。なお、e-JIBAIを運営する法人の名称は国の資料に記載がなく、利用の可否は契約先の損害保険会社に確かめることになります。
自賠責の電子化の範囲(2017年からのデータ登録)
軽自動車検査協会は「平成29年4月から自動車損害賠償責任保険(共済)証明書が電子化…登録情報処理機関に提供された場合は、提示する必要はありません」と案内しています。2017年4月から、自賠責の契約情報を登録情報処理機関へ提供する形の電子化が始まっていたということです。
| 電子化の種類 | 始まった時期 | 誰が使うか | 窓口での扱い |
|---|---|---|---|
| 契約データの登録(e-JIBAI等) | 平成29年4月 | 指定整備事業者などの代理店 | 登録情報処理機関に報告済みなら証明書の提示を省略できます |
| PDF証明書の交付(One-JIBAI) | 令和6年11月運用開始、車検対象車両は令和7年1月から交付予定(事務連絡時点) | 契約者 | 窓口ではPDFも、その印刷物も使えません |
同じ「自賠責の電子化」という言葉でも、データを登録情報処理機関に送る仕組みと、契約者にPDFの証明書を渡す仕組みは役割が違います。車検の書類を省けるのは前者です。
継続検査OSSでの自賠責の扱い
国土交通省北陸信越運輸局の「継続検査OSS導入の手引き」は、継続検査OSSを使う条件として次の2つを挙げています。
- e-JIBAI等による自賠責情報の電子化
- 電子保適証サービスの利用登録
自賠責情報を電子化すると、運輸支局等への自賠責証明書の写しの提出が不要になります。OSSで継続検査を申請する指定工場は、自賠責の契約をe-JIBAI等で行い、そのデータが登録情報処理機関に届いている状態にしておく必要があります。
日本損害保険協会も、運輸支局窓口での提示は紙の証明書のみとしたうえで、「自賠責データが登録情報処理機関に報告されている場合、運輸支局窓口で自賠責証明書の提示は省略可能」と書いています。OSSでも窓口でも、データが登録されていれば証明書を見せる手順は省けます。
車検の入庫ごとに自賠責の契約、保適証の発行、OSSの申請を順に進めるには、どの車がどこまで終わっているかを追う仕組みが要ります。顧客と車両の情報と車検の予定をまとめて扱う整備システムなら、自賠責の期間や申請の状況を同じ画面で確かめられます。自社の手順に合うかは、OSS対応システムの相談(無料)で確認できます。
自賠責PDF証明書(One-JIBAI)の仕組み
令和6年10月31日付の自賠法e-文書規則の改正(令和6年11月の法令改正)で、自賠責証明書をデータで交付できるようになりました。日本損害保険協会によると、業界共通システム「One-JIBAI」でPDFの証明書を交付します。
国土交通省の事務連絡(令和6年10月28日)は、損保業界が令和6年11月にOne-JIBAIの運用を始め、令和7年1月から車検対象車両の自賠責証明書の電子交付を始める予定だと伝えています。
| 項目 | 内容(日本損害保険協会の案内) |
|---|---|
| 受け取り方 | 証明書右下のQRコードとパスコード、またはメールのURLとパスコード、ワンタイムパスワードで受け取ります |
| 運行時の備付け | PDFを保存したスマートフォン等を携行すれば備え付けたことになります |
| 提示 | スマートフォン等の画面表示で行い、紙と同等とみなされます |
| 注意 | 家族がダウンロードし忘れて運転すると、備付義務違反になりえます |
事務連絡のQ4では、保険会社は当面、PDFを交付しても原則として書面の証明書も交付するよう指導されているとしています。それでも、車検の受付時には紙の原本が手元にあるかを確かめておくと、窓口での手戻りを防げます。
PDFの自賠責証明書が車検窓口で使えない理由
国土交通省が自治体あてに出した事務連絡(令和6年10月28日)は、道路運送車両法の処分に係る自賠責証明書の確認(自賠法第9条第1項)は従来どおり紙が必須とし、運輸支局等と軽自動車検査協会の窓口でPDF証明書の提示は認めないとしました。あわせて、第9条第1項の法令改正は行わないとしています。
自賠法第9条第1項が挙げる処分には、道路運送車両法の次の手続が含まれます。
| 道路運送車両法の条文 | 手続 | 自賠責証明書 |
|---|---|---|
| 第34条第1項 | 臨時運行の許可(仮ナンバー) | 紙が必要です(市区町村の窓口) |
| 第60条第1項 | 新規検査 | 紙が必要です |
| 第62条第2項 | 継続検査 | 紙が必要です(データ登録済みなら提示を省略できます) |
PDFを印刷しても無効
紙の自賠責証明書は、印刷すると「無効」と出る特殊用紙です。PDFの証明書を事務所のプリンタで印刷しても、窓口に出す証明書にはなりません。
例外が1つあります。保適証の最終検査申請日を過ぎた後に提出する「自賠責証明書の写し」は、通達改正により、PDFの印刷物を写しとして扱えます。
自賠責のPDF証明書は、運行中の備付けと提示には使えますが、運輸支局等と軽自動車検査協会の窓口では使えません。国土交通省の令和6年10月28日の事務連絡は、道路運送車両法の処分に係る自賠責証明書の確認(自賠法第9条第1項)について従来どおり紙を必須とし、窓口でのPDFの提示を認めないとしました。第9条第1項は新規検査や継続検査のほか、臨時運行の許可も対象にしているため、市区町村の仮ナンバー申請でも紙の証明書が必要です。PDFを印刷しても、紙の証明書は印刷すると「無効」と出る特殊用紙なので代わりになりません。書類を省けるのは、e-JIBAI等で契約データが登録情報処理機関に報告済みの場合に限られます。
自賠責保険料の改定(2026年11月1日始期から)
損害保険料率算出機構は2026年4月30日に自賠責保険の基準料率の変更を届け出ました。全車種平均で6.2%の引上げで、13年ぶりの改定です。新しい料率は、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されます。
| 車種(離島以外、沖縄県を除く) | 2026年10月31日までの始期 | 2026年11月1日以降の始期 |
|---|---|---|
| 軽自動車(検査対象車)24か月 | 17,540円 | 18,660円(+1,120円、+6.4%) |
| 軽自動車(検査対象車)25か月 | 18,040円 | 19,170円 |
| 自家用乗用自動車 24か月 | 17,650円 | 18,560円(+5.2%) |
料率の切り替えは保険期間の始期で決まります。車検の入庫日や検査日では決まらないので、10月末から11月初めに満了日を迎える車は、どちらの料率になるかを契約ごとに確認します。
自賠責の保険期間は、返付を受ける車検証の有効期間のすべてと重なっている必要があります。軽自動車検査協会は、保険期間の終わり(至)は午前12時までなので、車検証の満了日より1日以上多くかけるよう案内しています。契約月数を決めるときは、この1日の余裕を含めて計算します。
自賠責保険料は、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約から引き上げられます。損害保険料率算出機構が2026年4月30日に届け出た改定で、全車種平均の引上げ幅は6.2%、13年ぶりです。離島以外(沖縄県を除く)の軽自動車(検査対象車)は24か月が17,540円から18,660円、25か月が18,040円から19,170円になり、自家用乗用自動車の24か月は17,650円から18,560円になります。どちらの額になるかは保険期間の始期で決まるため、11月前後に車検を受ける車は見積の段階で始期を確かめておく必要があります。ネットで見かける「軽24か月17,540円」は、2026年10月31日始期までの額です。
まとめ
e-JIBAIは自賠責保険の損保会社の共同システムで、指定整備事業者が自賠責の契約データを登録情報処理機関に登録すると、車検で証明書の写しの提出や提示を省けます。継続検査OSSでは、この自賠責情報の電子化と電子保適証サービスの利用登録の2つが条件です。一方、令和6年11月に運用が始まったOne-JIBAIのPDF証明書は、運行時の備付けと提示には使えますが、令和6年10月28日の国土交通省事務連絡により、運輸支局等、軽自動車検査協会、市区町村の窓口では紙の証明書が必須です。PDFの印刷物も無効になります。自賠責保険料は2026年11月1日以降に始まる契約から平均6.2%上がり、軽自動車24か月は18,660円です。
e-JIBAIと自賠責の電子化に関するよくある質問
出典
- 国土交通省北陸信越運輸局 継続検査OSS導入の手引き(2026年10月4日確認):https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/nagano/pdf/2018osspanf.pdf
- 日整連 保適証サービス マニュアル(2026年10月4日確認):https://www.jaspa.or.jp/portals/pdf/u_manual5_ver1.6.pdf
- 軽自動車検査協会 継続検査(2026年10月4日確認):https://www.keikenkyo.or.jp/inspection/continuation.html
- 国土交通省 事務連絡 令和6年10月28日(吹田市掲載)(2026年10月4日確認):https://www.city.suita.osaka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/921/001.pdf
- 日本損害保険協会 自賠責保険の証明書(2026年10月4日確認):https://www.sonpo.or.jp/insurance/jibai/syoumeisyo.html
- 損害保険料率算出機構 自賠責保険基準料率表(2026年10月4日確認):https://www.giroj.or.jp/publication/cali_table.html
- 損害保険料率算出機構 2026年4月届出 料率表(2026年10月4日確認):https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_table.pdf
- 損害保険料率算出機構 2026年4月届出 公表資料(2026年10月4日確認):https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_announcement.pdf
- 損害保険料率算出機構 2023年1月届出 料率表(2026年10月4日確認):https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202301_table.pdf
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